かんもく症の発生率は、わずか0.2%から0.5%
場面緘黙症の発生率は、0.2%から0.5%で男子よりも女子に多いようです。
海外での発生率は、0.7%と日本よりも高いです。1000人の生徒のうち2人〜5人は発生する計算になりますが、保育園幼稚園小学校中学校高校と私と同じように話せない子は、1人もいませんでした。
1000人のうち2人〜5人の割合、情報が少なく孤立している
私は、50代になりはじめて「かんもく」と言うことばを知りました。大人になった今は、もう治っているので自己診断になりますが、症例は、すべて自分と一致していました。患者の数が少ないため情報が少なく本人や家族も孤立している印象があります。
診断名がわかったとき、はじめて自分の中の靄が晴れていく気がしました。言葉の能力も表現する力もあるのに学校や幼稚園で声を発すことができない・・単純に内気おとなしい性格内向的人見知りということばでは、片付けられません。
周りは、まったく会話ができない私にたいして極端な人見知り極端な緊張しやすい子という認識でしかなかったと思います。
大人になってから、自分が子供時代に考えていたことを周りの友人や知人に話すと、皆一様に「よくそんなこと覚えているね」「保育園や幼稚園の子にしては、大人びた考え方」といわれたこともあります。話せない分頭の中では、いろいろ考えていたし周りが会話でアウトプットしてしまう思い出や記憶を自分の心の中にインプットした状態だったのだと思います。
山口幸映さんが、「場面緘黙症を知っていますか?/私、学校では話せない子供でした」の中で書いていた内容もわかるわ!その気持ち!!と思ってしまいました。
話さなかった頃の私は、子供ながらに1人でよく考えた。学校で話さない自分と、家では話せる自分、どちらが本当の自分なのだろう。今、振り返っても思う、話せなかったのか、話さなかったのか。自分の意思で話さなかったような気もする
入園や入学がきっかけでかんもく症になることが多い
場面緘黙は、入園や入学がきっかけになりますが、愛情不足や育児の失敗が原因では、ありません。「話さない」のではなく、「話せない」の緘黙児。しかし日本では、あまり知られていないので間違った対応や誤解が多いのが現状です。
場面緘黙は、入園や入学がきっかけとなり保育園や学校で話せなくなります。家では,普通に会話ができうるさいくらいよくしゃべります。しか学校や保育園では、固く閉ざした貝のように口を開きません。
子供によっては、学童期から思春期にかけて発症する子もいます。学校に行くのを嫌がることは、ほとんどありません。例えば愛情をかけて接してくれた人が、突然いなくなってしまった、家庭環境学校でのいじめ、周囲への強い不安環境の変化、など複雑な原因の積み重ねと本人の気質によるものです。
中学校〜高校、思春期以降に発生する遅発性場面緘黙
思春期に親や教師への反抗で無口になるのとは、状況が、異なります。ほとんどの場合、幼児期に発生し大人になるにつれ改善していくことが多いかんもく症ですが、保育園や小学校では、普通に過ごせていたのに思春期以降に人前で話せなくなる遅発性場面緘黙症になる人もいます。
幼児期は、「どうして保育園でしゃべれないのか自分でも分からない。話したいけどおしゃべりができない」ということを伝えることができません。思春期以降に発生した場合、それを文字で書いて伝えることができます。ただ誰に話しても理解してもらえないと感じるのは、そういう経験をした人が少ないからなのだと思います。
小さいころ話していたのに、大きくなってから話せなくなると「性格が変わった」などといわれかねません。原因やきっかけとしては、家庭環境やいじめ、本人の気質などがあります。もともとアスペルガーやAD/HDの傾向が強い子なども併発しやすいようです。