塾・習いごと・お稽古ごとのストレスでイジメをしていたT君
Tくんは、進学塾とスイミングピアノ教室少林寺拳法英語進学塾とほぼ毎日習いごとにかよっていました。ストレスが溜まるのか学校ではたびたび切れてクラスメートに暴力をふるうことがありました。Tくんは、運動神経がよくなにをやらせても「すぐに出来る子」でした。少林寺拳法では、先生が一目置く存在だったしスイミングクラブでもすぐに頭角をあらわしました。
Tくんは、足が早くサッカーや野球も上手でした。スポーツ少年団やクラブでまじめにやっている子よりもずば抜けた運動センスで、負けず嫌い常に1位を目指し妥協しません。
1位になるためにクラスメートを威圧し張り合わなくても良いところでトラブルばかり起こしていました。しかしあるときを堺にクラス全員から無視され総スカンをくらうようになりました。Tくんは、学校に行き渋るようになり不登校が始まりました。学校でも運動能力の高いTくんは、体育で「見本」を見せるような存在で先生からも能力の高い子と思われていました。
学校の先生は、能力の差と思っていることが多い
学校には学校カーストが存在します。能力が高い子は、クラスの上層で能力が低い子は下層にいます。加害者となるのは、たいてい上層の子どもたちです。中間の子どもたちは、流動的な立ち位置なので下位に落とされないために地味に固まります。クラス全員が被害者にはなりたくないのでスクールカースト上位のものに従います。そして問題は、クラスの中に身分制度があると認識しながら学校の先生は個人の能力の差と思い込んでいる点です。
習い事がストレスになっていることもある
何をやらせても器用にこなすTくん。能力が高いので親も喜んで取り組んでいると思い込んでいます。しかしTくんのように何らかのストレスを感じ反動でイジメの加害者になることもあるのです。
イジメの被害者だと思ったら加害者だった
母親は、クラス全員から無視されている事実を学校に告げに行きました。しかし無視された被害者のTくんは、日頃からクラスメートに暴力をふるっていたそうです。担任の教諭にとっても能力が高い見本となる存在だったT君。最近のイジメは、昔より陰湿で先生や大人が見えない場所が多いので気づかれなくて当たり前です。そんな子に限って大人(保護者)の受けがめちゃくちゃ良いのです。本質を知らないと騙されます。
どこからがいじめなのか犯行を特定しにくく「良い子」と思っていた先生も驚いていました。学校カーストで分けられる階層の中には、被害者と加害者がおりはやしたてる観衆がいます。観衆は、お調子もの、そして何も言わない傍観者がいます。「何もいえない子」は「怖くて意見できない、喧嘩を止められない子」です。チクリと言われるくらいなら黙って見過ごしいていたほうが楽に決まっています。本当は、親として黙ってみてるのも罪を作るんだよということを保護者は、伝えると良いのかもしれません。いじめ問題で子どもの本質を理解した母親は、月曜日のスイミング火曜日のピアノ教室水曜日の英語木曜日の少林寺拳法金曜日の進学塾と毎日のように続く習い事や塾が原因と考えT君と相談し習い事を本人に選ばせることにしました。
お稽古事に忙しく家族で夕ご飯を食べることもすくなくなっていた家庭。母親も送迎に追われ疲れきっていました。習いごとにかけるお金も増えていったので父親とも度々揉めていたのです。母親は、こどもを良い子(優秀)に育てたいという強い思いから習いごとをさせていました。働いて得るパート代も 良かれと思って子どもの将来を思ってはじめさせたお稽古事でしたが欲張りすぎて家族の首をしめているように感じるようになりました。母親は、Tくん自身が続けたがった月曜日のスイミングと金曜日の進学塾だけを残し後は、止めさせました。少林寺拳法の先生は、Tくんがやめることを残念がりましたが Tくんは、日に日に落ち着いた表情を見せるようになってきました。
子どもは、親に従順であろうとします。子どもは親の前で「イイ子」でいようとします。原因を特定するのは難しいものの今のクラスでは、身分制度のような学校カーストが存在します。被害者加害者傍観者観衆傍観者自分にとっても子どもにとっても無理していない??そのクエスチョンは常に持ち続ける必要があります。
教育熱心な両親からのプレッシャー
父親も厳格で母親も教育熱心なHさん。お母さんの口癖は、「◎◎すべきよ」「◎◎しなさい・・これぐらいできないと社会人として通用しないわ」お父さんの口癖は「△さんは、□□なのにお前は××だな」「だからダメなんだよ・・」というものでした。両親ともに「学歴」にこだわることが共通項でした。
母親の実家は、高学歴反して学歴が高くない父親は、母親の親戚に対し引け目を感じているようで常に評価を気にしていました。Hさんは母親の強い薦めで進学塾に通い始めます。進学塾に通うために部活動は休みがちになりました。しだいに学校で遊ぶ友達が少なくなり孤独なHさん昼休みもやすみじかんも友達と会話を楽しむこともなく勉強をしたり図書館の本を読みふけっていたのです。進学塾に通い疲れていても家では、母にも父にも「勉強しなさい」と叱られ父母が監視するような状態で勉強をさせられていました。
そんな両親の頑張りもありHさんは中間一貫校に合格します。新しい学び舎で新しい友達今までのクラスメートもいない・・孤独な休み時間も昼休みももう終わり志望校に合格した自分には、新しい友達ができるはず!!と考えていました。しかしHさんの周りには、影の薄いクラスでも嫌われ者の子や気味悪がられているような子しか集まってきません。Hさんは混乱します・・私の周りは、こんな変な子しか集まってこないの??そう思うようになりました。さらにHさんは、進学塾での課題をこなす力はつけていたものの家庭で自主的に自分の勉強や課題をこなす力がまったくついていませんでした。父母に監視されながらする勉強は出来ても自発的に学ぶ要素がまるでなかったのです。しだいにHさんは、山のような課題をこなせないダメな自分に落胆し「課題が終わらないから学校に行けない」と訴えるようになりました。
志望校に合格して勉強はもうしなくても良い!そんな期待と新しい環境で自分にふさわしい友達ができるはず!そう思ったHさん。ココロの中にもやもやした思いを抱えながら休みがちになりました。
そして自分が一番苦手な体育祭に参加したときのことです。クラスメートに「Hってさ〜〜普段休んでるのに体育祭だけ来るんだね!チームが違うから良いけど」そう言ってきました。Hさんは、運動が苦手で周りの足手まといなことも十分承知していました。自分が頑張って学校に行ったのに・・ひどい言い方に強いショックを受けました・・以来Hさんの生活は昼夜逆転し完全に不登校になりました。
カウンセラーは、Hさんの両親に対してHさんを批判しない人と比較して評価しない行動を指示しない命令口調をやめる勉強に口をださない子どもの服装や自分で決めればよいことに口出しをしない
ことをコーチングしました。両親にとってそれは今まで自分たちがやってきたことと真逆の方法でした。
両親にも葛藤があったと思いますが萎縮していたHさんはかわっていきました。Hさん自身気付かないまま思春期を迎えていたのですが、誰かに指示されないと行動が出来ないのは、教育熱心な母があれこれ口を出し過ぎていたからなのです。